ここでは、私がお伝えできるオーディション合格のコツを伝授したいと思います。ただオーディションに合格すればよいというものではなく、その後のあなたの人生にとっても有益になるように考えて書きました。
◆英語で例えるなら…◆
英語は、「ながら勉強」をしたほうが早く身に着く、というのは、しばしば聞かれる話です。英語だけをひたすら勉強するよりも、仕事の必要に駆られて、あるいは理数系などの、他分野の勉強をするために仕方なく英語を勉強した人の方が、早く正確に英語が身に着くというのです。この理由として考えられるのが、仕事では数量やイエスノーの意思、時間といった要素、勉強では専門用語や自分の論文を説明するときなど、実際に「伝える」、そして相手の言っていることが「伝わる」ということが、まさに死活問題といえるほど重要だからでしょう。その点、英語だけを勉強するのでは、文法は正しく、発音は美しいかもしれませんが、言っている内容はどうでもいいことです。どうでもいいことを完璧にいえるよりは、内容が濃くて興味深いことを、たどたどしい英語で一生懸命に話したほうが、聞く人の心に訴えかけるのは当然であり、彼とコミュニケーションをとりたがる人は増え、結果的にコミュニケーションの場数も多く踏むようになることで、英語が早く身に着くのでしょう。
◆オーディションの成功のために◆
ですからあなたもオーディションを最終目標にするのではなく、その先にどんな充実した人生が待っているか想像して、そのために必要な準備も、オーディションの準備と並行して行ってみてください。海外で仕事をしたいなら英語を勉強したり、知的な女優になりたいのなら受験勉強や研究により励むなどです。ご自身が今行っている仕事と並行してモデルやアイドルをしたいのなら、今の仕事をもっと熱心にやるのでもかまいません。オーディションのために仕事量を減らすよりも、そちらのほうがかえって合格に近づきます。
ジャッキーチェンの映画を見ると、命がけのようなアクションの連続で、息をつく間もないまま本編を見た後に、NG集が流れて、見ている人の心を和ませますよね。つまり、感動的な映像と、ギャグ的な映像、実は映画の撮影中にこの2つの映像が同時に出来ているわけです。これもジャッキーチェンが、「確実に出来るとは言い切れない」ようなアクションに挑んでいるからです。確実に出来るものなら、見ている人も想像の範囲内でつまらないですし、成功するに決まっているのですからNG集も生まれません。オーディションに受かるのは、前者の「NGも出すが、感動的なものも生み出す人」です。そういう人は常に、今の自分では出来ないことにチャレンジをし続ける人であり、倦怠や退屈とは無縁で、いつまでもこの人を見ていたいと思わせるからなのです。
◆まとめ◆
あなたも、すでに10回できることを100回できるように努力するのではなく、今まで一回も出来なかったことを、一回できるように努力する人になってください。その精神を持っている人こそ、次世代のスターです。