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【読書感想文】人狼ゲーム/川上亮著

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【読書感想文】人狼ゲーム/川上亮著



皆様こんにちは。
おたなべです。
本日は中村さんを見習って読書感想文です。
先輩のように論理的だったり分析は出来ないのでただの感想となりますが予めご了承ください。
極力ネタバレはしないように!と思いましたががっつりネタバレになりました!ごめんなさい!



人狼ゲームとは

プレイヤーはそれぞれが村人と村人に化けた人狼となり、自分自身の正体がばれないように他のプレイヤーと交渉して正体を探る。ゲームは半日単位で進行し、昼には全プレイヤーの投票により決まった人狼容疑者の処刑が、夜には人狼による村人の捕食が行われる。全ての人狼を処刑することができれば村人チームの勝ち、人狼と同じ数まで村人を減らすことができれば人狼チームの勝ちとなる。
ウィキペディアより引用

ガッパーイベントでもやり、社内でも一度やってみた人狼ゲーム!詳しくはこちらの記事をご覧ください。



『人狼ゲーム』あらすじ

高校二年生の愛梨は、バイトの帰りに何者かに拉致される。
目覚めると、周囲には円を描くように同じ高校の制服を着た男女が座っていた。
そして、首には何の目的か分からない首輪がはめられていた。不可解な状況に戸惑う愛梨たち。
すると壁に掛けられたモニターが光り、「人狼ゲーム」と表示され、
『皆さんにはこれから人狼ゲームをプレイしていただきます。拒否権はありません。これは、特別な方々を楽しませるためのショーです。この場で起きるすべての出来は撮影され、中継されています』と告げられる。
「人狼ゲーム」とは、プレイヤーが村人と狼に分かれ、それぞれがある種の条件の下にお互いを当てるというもの。
しかし、このゲームでの“負け”は“死”を意味していた…。
何故、彼ら彼女らはここに集められたのか?そして、生き残るのは誰か…生死を賭けたゲームが、いま始まる―。

(「BOOK」データベースより引用)

こちらの『人狼ゲーム』、皆大好きなバトルロワイヤルのようなものです。
他の方の感想を拝見していたところ「ダンガンロンパ」的な要素もあるとのこと。
こう、隔離されて殺し合うところでしょうか。

面白いのは、初めは無作為だと思われていた選ばれし10人の北摂高校の生徒たちがそれぞれ誰か一人に恨みを持っていて、輪っか状の関係を作ることができるところ。
最初はお互いに恨みなど持っていませんが、2日目に流される各々の自室のテレビにお互いへの恨みの情報が流されます。

以降はがっつりネタバレです。

本書で説明されている関係図は以下の通りです。

町村→井上マリエ→多田→井上コノミ
稲葉→藤木→イノセ
ニシナ→下林 川崎

(川上亮『人狼ゲーム』竹書房文庫、2013年、181頁)

小説内ではっきりと明記されているのはこの関係図。矢印の向かう先の相手へ恨みがあることを意味しています。
上記を踏まえて、私なりに理由を付け加え、そして明記されていない関係図も推測しながらまとめてみました。

まず川崎くんについて。
川崎の位置が不確定、と作中では述べられておりましたが、ここで稲葉ちゃんのエピソード、続けて川崎くんのエピソード部分をご覧ください。

ただ似ているだけならまだよかった。なにより許せないのが、この素晴らしいメロディに――もちろん原曲のほうがはるかにクオリティは上であり、これは劣化コピー以外の何物でもないが――古くさくてださくてチープな歌詞を乗せているところだ。
〔中略〕
瞳はその旨をコメント欄に書き、最後に「これは大したインプットもなしに縮小再生産されたスクラップだ」と付けくわえた。

(川上亮『人狼ゲーム』竹書房文庫、2013年、154-155頁)

オリジナリティが感じられない、どこかで聞いたようなメロディを組みあわせただけ、詩は古くてださくて二十年前のセンス、大したインプットもなしに縮小再生産でされたスクラップ、などと書かれている。

(川上亮『人狼ゲーム』竹書房文庫、2013年、81頁)

あっこれ稲葉ちゃんのコメントだ
状況を補足しておくと、稲葉ちゃんの彼氏はミュージシャン。
彼氏のバンドと似た曲を見つけてdisったところ、実はその曲を作ったのは川崎くん、ということらしいです。

とすると、川崎くんの位置がはっきりし、お互いがお互いを恨む輪の関係が出来上がります。

町村(痴漢冤罪)→井上真理絵(イジメエスカレート)→多田(轢き逃げ)→井上このみ(彼氏が仁科に片想い)→仁科(バイト先の書店で万引き)→下林(?)→川崎(楽曲酷評された)→稲葉(彼氏に麻薬を売った)→藤木(バイト先へのチクリ)→猪瀬(?)→町村

となると、猪瀬ちゃんと下林くんの他者への恨みが不明。

ここからは推測になりますが、猪瀬ちゃんの町村くんへの恨みは猪瀬ちゃんの父親関係な気がします。
怪しいのは、

父の会社の負債は相当、大きくふくらんでいたらしい。その前の週、とうとう最後の頼みの綱だった銀行からも融資を断られたらしい。

(川上亮『人狼ゲーム』竹書房文庫、2013年、34頁)

の箇所。
展開からいうと、恐らく町村くんのお父さんが経営している会社というのが“頼みの綱だった銀行”だったのではないでしょうか。
町村くんの家族に関して書かれている箇所はありませんでしたが、猪瀬ちゃんの生い立ちを見るに、これが一番しっくりきます。

下林くんの川崎くんへの恨みですが、下林くんだけ全くエピソードがないんですよね……。
蛇足ですが、
「下林くん結構好きなタイプかも…生き残るように応援しよう☆」と思った途端に襲撃されてました。



IF話-もし名乗り出た二人の預言者の別の人が信じられていたら-

今回真理絵ちゃんと藤木くんが預言者として名乗り出て、藤木くんが嘘をついていると判断されました。
そのため、真理絵ちゃんが「人狼です」と指した町村くんが吊られ、藤木くんが二人目の人狼と判断されました。
もしここで真理絵ちゃんが偽の預言者、つまり人狼だと判断された場合に主人公の愛梨ちゃん、そして生き残った人はどんな展開を迎えたのでしょうか。
ということで想像してみました。

展開始めとして、確定事項を確認。

  • まず信用された藤木くんは町村くんのことを「村人」と断定しています。
  • そして嘘を吐いていると判断された真理絵ちゃんが吊られます。

この時点で残りは、
愛梨ちゃん、多田くん、このみちゃん、町村くん、稲葉ちゃん、藤木くんの6人。
夜の人狼襲撃で本物の預言者、藤木くんがきっと殺されるじゃないですか。
そうなると残りは、
愛梨ちゃん、多田くん、このみちゃん、町村くん、稲葉ちゃんの5名になってきます。

展開予想の前提として、

  • 町村くんは殺された本物の預言者、藤木くんが村人だと宣言したおかげで村人として扱われます。
  • 愛梨ちゃんは確実に物語終盤まで死にません。だって主人公ですから。

とした上で、生き残った5人が誰に投票するのかを考えてみました。

◆愛梨ちゃんの次回投票推測
稲葉ちゃんはシロ。

愛梨は頭の中で、瞳の名前に×印を描き加えた。

(川上亮『人狼ゲーム』竹書房文庫、2013年、34頁)

「藤木を殺したいの!!だから吊るの協力して!!」と多田くんに色仕掛けを仕掛けたところをたまたま見てしまった愛梨ちゃん。
多田くんから「人狼だったら夜に殺せるはずだし、そんな必死にならないんじゃね?」と言われ、村人判定しています。
そうなると不確定なのは多田くんかこのみちゃん……。
多田くんへの信頼度を見ると愛梨ちゃんが投票するのは【このみちゃん】、もしくは【愛梨ちゃん】自分自身。
愛梨ちゃんの場合、相手が人狼だと確定できない場合は自分への投票になりそう……。

◆多田くんの次回投票推測
愛梨ちゃんには絶対に投票しないはず。というのも、多田くんと愛梨ちゃんの信頼関係は強いですし!
となると、このみちゃんか稲葉ちゃんですが、多田くんが「稲葉ちゃんはシロ」と愛梨ちゃんに教えています。
すると残るのは【このみちゃん】

◆このみちゃんの次回投票推測
このみちゃんは【愛梨ちゃん】への投票の可能性が高そうです。

少なくとも、このみは愛梨のことを疑っているようだ。

(川上亮『人狼ゲーム』竹書房文庫、2013年、186頁)

◆稲葉ちゃん、町村くんの次回投票推測
稲葉ちゃんは藤木くんを吊るしたがってたので、一番殺したい相手はもういないということでしょうか。
町村くんは作中で一番人狼ゲームを理解している印象を受けました。
なので、この二人は【愛梨ちゃん】【多田くん】【このみちゃん】の3人の誰を投票してもおかしくありません。
藤木くんが吊られてから次の投票の時間までに何かあった場合、その出来事の影響を受けそうな様子。

と、ここまで頑張って推理したもののなんですが、そもそもこの大前提のIFが成り立たないことに気が付きました。
真理絵ちゃんではなく、藤木くんが信頼された場合、ということで話を進めていきましたが、
藤木くんが信頼されたところで誰が誰に投票するのかを改めて考えてみました。

  • 愛梨ちゃん→愛梨ちゃん(藤木くんと真理絵ちゃんのどちらが信用されるかは投票相手変動に関係しない)
  • 町村くん(村人確定)→真理絵ちゃん(確定)
  • 藤木くん(本物預言者)→真理絵ちゃん(確定)
  • 稲葉ちゃん→藤木くん(藤木くんが嫌いなので藤木くんが本物の預言者だろうと藤木くんに投票)
  • 真理絵ちゃん(偽預言者=人狼?)→町村くん
  • 多田くん→?
  • このみちゃん→?

浮動票は2票のようですが、このみちゃんが言い切ってました。

「姉さんが自分で言ってたから。町村に入れるって。あたしと姉さんの票が分かれて、それで姉さんが票を集めるようなことになったら、目も当てられない」

(川上亮『人狼ゲーム』竹書房文庫、2013年、231頁)

そうなるとこのみちゃんは真理絵ちゃんが人狼で確定でないこのとき、確実に町村くんに入れるじゃないですか。
すると残ったのは多田くん。
ですが多田くんが真理絵ちゃんに入れるわけじないじゃないですか。だって彼も人狼ですもの。

浮動票なんてあってないようなものでした。

  • 愛梨ちゃん→愛梨ちゃん
  • 町村くん→真理絵ちゃん
  • 藤木くん→真理絵ちゃん
  • 稲葉ちゃん→藤木くん
  • 真理絵ちゃん→町村くん
  • 多田くん→町村くん
  • このみちゃん→町村くん

真理絵ちゃん2票で町村くん3票でした。結局展開変わりませんでした。
町村くんごめん……真理絵ちゃんが自称預言者発言したらもう吊られる運命だったんだよ……



IF話-もし名乗り出た二人の預言者の別の人が吊られていたら-

第五章で愛梨ちゃん、このみちゃんのやり取りがあったために、真理絵ちゃんがその夜吊られます。
もし、愛梨ちゃんこのみちゃん間のやり取りがなく、愛梨ちゃんが初回投票の違和感の理由に気付かずに夜の投票時間になったら?
というIF話です。

その時に残っているのは、
愛梨ちゃん、多田くん、このみちゃん、真理絵ちゃん、藤木くん。
恐らく藤木くん以外の4人が藤木くんに投票して藤木くんが吊られます。

テレビカメラを見上げ、問いかける。
「ねえ! 村人は勝ったの!?」
扉のほうを見てみる。だが反応はない。スピーカーからはかすかな雑音すら聞こえてこない。

(川上亮『人狼ゲーム』竹書房文庫、2013年、272頁)

この描写はきっと変わりません。だって人狼残ってますから。

藤木くんが吊られたとすると、
愛梨ちゃん、多田くん、このみちゃん、真理絵ちゃんが残ります。
藤木くんが吊られてもゲームが終わらない時点で、もう一人名乗り出ていた預言者、真理絵ちゃんの人狼が確定。
うっわもうこの時点でネタバレすると人狼二人残っちゃってるんで普通に考えたら絶望なんですけどね!!

◆パターン1

  1. 多田くんは『絶対に自分に入らない一票』のために愛梨ちゃんを守っていたが、人狼勝利が決まっている今は用済み。
    真理絵ちゃんは同じ人狼でもない、妹でもない、愛梨ちゃん襲撃。
    →愛梨ちゃん死亡
  2. 次の日の生き残り、多田くん、このみちゃん、真理絵ちゃんの3名。
    夜の吊りで人狼からの2票集まってこのみちゃん死亡
  3. 人狼2名生き残り、人狼の勝利。

このみちゃんか愛梨ちゃん、襲撃されるとしたら愛梨ちゃんのほうが早そうです。
これが一番考えられる展開でのよくあるパターン。

◆パターン2

  1. 多田くんは『絶対に自分に入らない一票』のために愛梨ちゃんを守っていたが、人狼勝利が決まっている今は用済み。
    しかしこのみちゃんと真理絵ちゃんは姉妹。真理絵ちゃんは人狼だが、万が一裏切られる可能性がある。
    なのでこのみちゃん襲撃。
    →このみちゃん死亡
  2. 次の日の生き残り、愛梨ちゃん、多田くん、真理絵ちゃんの3名。
    夜の吊りで人狼からの2票集まって愛梨ちゃん死亡
  3. 人狼2名生き残り、人狼の勝利。

襲撃で愛梨ちゃんよりもこのみちゃんを先に殺す可能性はあるのでしょうか。
多田くんとしては愛梨ちゃんのほうが残しておきたいんだろうなと思います。
襲撃で姉妹関係の一人を殺しておけば“万が一”、次の日に吊られる可能性はほぼなくなります。

◆パターン3

  1. 多田くんは『絶対に自分に入らない一票』のために愛梨ちゃんを守っていたが、人狼勝利が決まっている今は用済み。
    真理絵ちゃんは同じ人狼でもない、妹でもない、愛梨ちゃん襲撃。
    →愛梨ちゃん死亡
  2. 次の日の生き残り、多田くん、このみちゃん、真理絵ちゃんの3名。
    夜の吊りで井上姉妹(真理絵ちゃん、このみちゃん)が多田くんに投票し、多田くん吊られる
    →多田くん死亡
  3. 夜の襲撃で真理絵ちゃんがこのみちゃん襲撃
    →このみちゃん死亡
  4. 人狼1名生き残り、人狼の勝利。

というのが個人的には理想的でしたが、多田くんが人狼か村人かわからない、なおかつ真理絵ちゃんが人狼で確定している状況で、このみちゃんは多田くんを指名することはないなと思いました。
しかもこれだと妹守ったように見えて結局守れてないですからね。私の脳内の真理絵ちゃんクズすぎる。多田くんの無駄な犠牲感!!

3パターン考察してみたものの、いくら姉妹関係があろうとも、人狼2人に対して村人2人の時点で勝てるはずありませんでした。



小説『人狼ゲーム』の面白さとまとめ

この『人狼ゲーム』で面白いのは、

  • 誰かが誰かに恨みを持っていて、その関係を整理すると輪っか状の関係になること
  • 恨みだけの関係ではない、家族関係の人間もいること
  • 人狼役は人狼ゲームのスペシャリストであること

が挙げられます。

◆誰かが誰かに恨みを持っていて、その関係を整理すると輪っか状の関係になること

誰かが恨みを持っているので、もしかしたら人狼が自分の恨みを晴らすために夜の襲撃のターゲットを選んでしまうかもしれません。
それを我慢するか、本能に忠実になるか……。
村人からしたら人狼に恨みを持たれていないことを祈ることしかできないのですが、逆に夜の襲撃のターゲットを推測することで人狼を絞り込むことも可能になってきます。

◆恨みだけの関係ではない、家族関係の人間もいること

そして今回、井上真理絵ちゃん、このみちゃんが姉妹関係にあること。

「妹を、死なせたくないから。」

(川上亮『人狼ゲーム』竹書房文庫、2013年、224頁)

「姉さんが自分で言ってたから。町村に入れるって。あたしと姉さんの票が分かれて、それで姉さんが票を集めるようなことになったら、目も当てられない」

(川上亮『人狼ゲーム』竹書房文庫、2013年、231頁)

しかし今回二人は人狼と村人、絶対にどちらかは死ぬ運命にあります。
このみちゃんの選択は小説を読んでいただければわかりますが、途中で吊られた真理絵ちゃんに関しては、上記のIF話で想像した通り、違う展開があったときにどうなったかわかりません。

人狼として、自分が生き残ることを選ぶのか。
それとも、自分を犠牲にして妹このみを守るのか。

自分は姉なのに。
本来ならば妹を守るべき立場なのに。

(川上亮『人狼ゲーム』竹書房文庫、2013年、205頁)

真理絵ちゃん自体、決して死にたがりではなく、「生き残りたい」と何度も宣言しています。
しかし妹を守るか、殺すかの立場となったときにどうするか……。
今回の『人狼ゲーム』で、人狼であり、姉である真理絵ちゃん。
彼女のストーリーが一番面白いように思えます。

◆人狼役は人狼ゲームのスペシャリストであること

『人狼はこのゲームのスペシャリストです。村人は心して取りかかってください。それでは皆さん、検討を祈ります』

(川上亮『人狼ゲーム』竹書房文庫、2013年、40頁)

このアナウンスが大きな鍵!
ここまでネタバレしてしまったので皆様お気づきかと思いますが、是非実際に原作を読まれてこの意味合いに納得していただければと思います!

文章自体はそんなに難しい表現でもなく、さくさく読み進めることができました。
そしてこちらの『人狼ゲーム』、桜庭ななみさん主演で映画化しております。→映画「人狼ゲーム」公式サイト
また、続編もあるようです。『人狼ゲーム BEAST SIDE』
こちら前作『人狼ゲーム』の人物は関係なく、今度はこのゲームの設定を人狼視点で描いたものとのこと。
今年2014年秋に映画化も決定しているようです!
人狼ゲームに精通した方には少し物足りない内容かもしれませんが、
私のような少しかじった程度、それかバトルロワイヤル的展開心躍る!という方には面白いかと思います。

以上、おたなべの読書感想文でした!
無謀にIF話いっぱいしましたが、運命をかえることはできなかったのでやっぱりプロの作家さんってすごいなと思いました!(小並感)

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